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今週の食字

第5週 「稟」―給料としてもらう穀物。扶持

稟部首 : 禾+8画 (総画数13)
成り立ち : 会意
音読み : ヒン、リン (漢)
訓読み : う-ける
中国読み : bing3 (ピン)

学生の時にはほとんど使わないが、社会に出てから結構使うようになる言葉、というものがある。
「直行」「直帰」などというのもそうだし、「みょうにち (明日)」や「一両日」といった言い回しもあまり学生は使わない。
他にも「あいみつ (=合見積)」「営業日」など営業に関する言葉もあり、また電話口で「失礼ですが……」と言えば相手に名乗ってもらえるというのもこの部類かも知れない。

また社会に出てから経験することとして、官庁や会社組織での様々な書類手続きもある。
「申請書」「精算書」「企画書」などは誰でも意味が分かるが、「稟議書 (リンギショ)」となると、一定規模以上の組織に属したことのない人には、あまり馴染みのない言葉かも知れない。
日本組織独特の制度で、会議を開くほどでもない事柄について、関係者に議案を回覧してもらい承認を受けることを稟議といい、その為の書類が稟議書だ。
起案の目的や予想されるメリットなどについて詳細に書く必要があるため、悩まされた (あるいは今まさに悩んでいる) 人も多いだろう。

さて、今回の字は「稟」。もともと「亠」の下に「回」で屋根付きの丸い穀物倉、特に米倉を指していた。
後に意味をはっきりさせるため下に「禾」(のぎ。主に穂を実らす穀物の意) を置き、今の形になったとされる。
米倉の意味から「俸給としてもらう穀物 (扶持 (フチ))」を指すようになり、「稟給 (ヒンキュウ)」「稟食 (ヒンショク)」「牢稟 (ロウヒン)」とは政府から受ける扶持米。
さらに発展して上の者から何かを「授かる」「命令を受ける」、また逆に「申し上げる」(稟請) の意味を持つようになった。このため、本来の米倉の意味では、「广」をつけた「廩」を使い区別している。

「稟受 (ヒンジュ)」「稟性 (ヒンセイ)」はともに天から授かった性質、「稟命 (ヒンメイ)」は命令を稟 (う) けること、「稟奏 (ヒンソウ)」は天子の命令で意見を述べること、「諮稟 (シヒン)」は相談の結果を上に申し上げること、のように使う。
なお、「稟議 (ヒンギ)」は本来「命令を受けて討議すること」を指す (「リンギ」は慣用読み)。

日本の稟議制度は、情報共有しやすいという利点がある一方、決裁の遅滞、責任の不明確化を招くものとして、批判の的になることも多い。
どちらが絶対的に正しいということはなく、要は使い方なのだが、古くからある制度が形骸化してしまっていることも決して少なくはない。
今一度、現在あるもの、やり方を新たな目で見直してみてはどうだろうか。
意外なところに巧い使い道が見つかるかも知れない。(10/08/09)

 

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